日本の歴史において、美術・造形と一貫して関係してきた人間的営みのひとつが信仰である。
かたちそのものが信仰と一体であった古代。やがて大陸から仏教が伝えられると、その組織的な教義のもと、活動拠点となる伽藍、礼拝対象となる仏像仏画、テキストとなる写経など、多様な宗教美術が育まれる。一方、在来の神祇信仰も、これに刺激されて造像に足を踏み入れる。神仏習合の動きが美術の上にも反映され、個性的な造形を生み出される。
そして人間的活動のあらゆる局面が、神仏を中心とした信仰に裏打ちされた時代となった中世。夢、奇瑞、浄土、異界、多数尊などのキーワードによって特徴づけられる魅惑的な造形世界が誕生する。
近世になると、人々の心の中での信仰のありようが変質する。神仏の住む「向こう側の世界」の実在感が減衰し、現世への関心が高まる。しかし信仰世界は消滅するのではなく、拡散するとともに楽しむ傾向を示す。同時に、既存の権威のもとではなく、在野から新たな信仰の復権の動きも起こり、近世独特の宗教的造形も生み出される。
本巻は、信仰がもたらした豊かな造形の動きを、時代ごとの巻では扱えなかった通史的視点から概観する。
【目次】
はじめに 泉 武夫(東北大学大学院教授)
第一章 信仰の芽生え
第二章 仏の像と世界観
第三章 山林の霊力と浄土信仰
第四章 都の雅びと諸方の仏神
第五章 神と仏のあやなす世界
第六章 夢想と参詣
第七章 信仰の民衆化
信仰と美術──聖なる世界と心の表われ 泉 武夫(東北大学大学院教授)
悩める神の願い──神仏習合と日本古代宗教文化 サムエル・C・モース(アーモスト大学教授)
神仏と人の織りなす造形──清水 健(奈良国立博物館学芸部工芸考古室長)
近世の宗教美術──内なる仏と浮世の神──矢島 新(跡見学園女子大学教授)
コラム/霊木と仏像 井上大樹(文化庁文化財部美術学芸課文化財調査官)
コラム/蔵王権現の信仰とイメージ──藤岡 穣(大阪大学教授)
コラム/社寺縁起と素朴絵 泉 万里(静岡県立美術館学芸部長)
出版社 : 小学館 (2015/10/23)
発売日 : 2015/10/23
言語 : 日本語
大型本 : 252ページ
ISBN-10 : 4096011118
ISBN-13 : 978-4096011119
寸法 : 28.2 x 5 x 38.5 cm
外箱に少し汚れがあります
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